2011/01/16

むかつくこと

今日はつまんないこと書きますよ。

最近、ちょっとムカッときたことがあります。何がって、与謝野さんの内閣への登用ですよ。誤解のないように言っておきますと、私は与謝野さんに対しては何ら負の感情は抱いていません。気に入らないのは民主党のやり方。

与謝野さん入閣を巡る私の見立てはこんな感じなんですけどね。

・埋蔵金があるあるといって、人気取りのための子ども手当や公共投資の拡大やらで、前政権の財政運営を批判しておきながら史上最大規模の予算を組むという失点を犯してしまった民主党、事業仕分けなぞやってみたものの、仕分けの結果に強制力はなく、結局は放漫財政を賄えるだけの財源を獲得できず、いよいよヤバくなってきた。

・これはまずいと菅さんが、自民党との間では選挙の論点となるはずのない「消費税増税」を口走ってみたものの、結果は参院選で大敗し、政権維持の危機。

・人気を保ち政権を維持するためには、マニフェストで約束した放漫財政をある程度続ける必要があるが、その財源をどこかから引っ張ってこなければならない。かといって、前回の選挙の結果からも明らかなように、民主党自身が消費税増税を先導するのは政権の危機。

・そこで、かねてから財政再建派として名高く、閣僚経験と見識を持った(とみんなが思っている)与謝野さんを、民主党主流との対立軸を残したまま、いわば必要悪として閣内に取り込み、与謝野さん主導で消費税増税に舵を切る。

要は、与謝野さんに押し切られたという形で消費税増税に踏み切り、マニフェストで放漫財政を約束した民主党の体面を汚すことなく事を収めるという作戦ではないのか。

本当に子どもっぽい政権だよな。まるで、「そんなことうまくいくはずないよ」という親の忠告を無視して強行したものの、やっぱりうまくはいかず、必死に言い訳している子どもみたいだ。そこで、「お父さんの言うとおりでした。すみませんでした。」と頭を下げてくるならまだ可愛げがあるんだけど、言い訳をするってのはむかつくね。野党時代、闇雲に政権奪取のみを掲げ、前政権による財政運営に対する一定の必然性と改善策を全く学んでなかったってことだね。

もっとむかつくのはですよ、消費税増税を検討している一方で法人税減税を行うこと。物理的生命体でない法人への課税を緩和し、飲み食いすることで物理的生命を維持している個人への課税を強化するってのはどういうことか。つまり、国民は今後の生活の糧を勤労にではなく投資に求めろってことか。そして投資資金を持たない者は敗者ってことかな。

法人税減税の理屈もわかるよ。企業の海外への逃避を防ぎ、投資マネーを日本に呼び込むって作戦だよね。だけど、企業の成長を支えているのは勤労者でしょ。尊い勤労をしている者に重税を課すってのは封建社会の再来かって感じ。こんな状況下、この先日本で生きていくためには、ちょっと頭の回る人なら、勤労者であることをやめて投資家の側にまわるよね。その方が実入りがいいから。そうなると、元々は産業の空洞化を防ぐという目的で実施される法人税減税が、理屈の上では、勤労者の減少による産業の空洞化を促進するってことになるんじゃないか。パラドクスだね。我々の世代は「勤労は尊い」という道徳観の下で育ってきたけど、この先は投資は勤労に勝るというのが日本の道徳となるのか?

欧米では「企業は投資家のもの」という考えが徹底し剰余金をバンバン配当するのに対し、日本企業は内部留保ばかりして配当はしみったれてるから、実際には勤労者であることをやめて投資家に転じるなんてのは無理な話。だから、極端な勤労者の減少を招くことはないと思うのだけど、そういう経済の歪みに乗じて経済政策を成り立たせようとしているのだとしたら、場当たり的だし、「実際に投資家に転じるなんて無理だろ」と弱みに付け込まれて搾り取られているようで、ますます不愉快だっ!

しかし、支持率獲得による政権維持を第一義とする政権の危うさを国民に示し、国民の政治意識を高めたという意味では、民主党政権も日本の政治史に一定の貢献をしたのかも知れない。

ふと思ったんだけど、民主党政権て構造的にはベネズエラのチャべス政権によく似てるな(爆)。

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