2008/12/15

ちょっくら言わせていただきます

週末、家で新聞をペラペラ見ていたら、F1に関する結構大きな囲み記事がありました。

昨今の経済不況の余波を受けて、F1も大改革がなされるみたいですね。一言で言えば、「コストカットを断行し、各チームの実力を均衡させる」ということでしょうか。記事によれば、空気力学的に有利なボディのデザインに欠かせない風洞実験がシーズン中は禁止になるとか、ドライバーを2人抱えるチームの場合、1シーズンに使用できるエンジンが20基に制限されるとか、正に断行という感じですね。FIAとしては、他に、全チームに同じエンジンを使用させる、全チームに同じギアボックスを使用させるといった案まで考えていたようですが、さすがにそこはコンストラクターの大反対にあい、適用は断念したようです。しかし、ギアボックスの件は、2010年頃には適用される可能性が高いそうです。

記事の最後にあったFIA会長のお言葉、「スターティンググリッドにたった2台の車を並べるために1000人規模の人が動くスポーツなど成り立つはずがない」というのは、ちょっとファン心理とずれているんじゃないですかねぇ。確かに、効率性を是とするビジネスであれば会長の言うとおりと思いますが、F1にこの考え方が通用するのかは疑問です。

世界最高のシャシに世界最高のエンジンを積み、それを世界最高のドライバーが操り速さを競う、それがF1の醍醐味です。別に我々は、「同じ車にのったらハミルトンとマッサはどちらが速いのか」なんてレースを見たい訳ではないでしょう。多額の資金と多くの技術者の情熱で作り上げた最高のマシンを人並みはずれた能力を持つドライバーが操り、世界最速の世界を見せてくれることに魅せられる訳です。たった2台の車をスターティンググリッドに並べるために数百億円の資金と何千人の人間が注ぎ込まれるという無駄に魅力を感じ、人々は無駄な情熱を注いでいるのではないでしょうか。

世の中、何でも効率化を目指す方向に走ってしまい、無駄の必要性が見過ごされがちです。無駄があってこそ様々なアイデアが生まれるし、無駄のために無駄な努力をすることは最高に面白いことです(私の趣味の宅録なんて、無駄の最たるものですな)。

ビジネスに徹し無駄のないF1なんて、今後成立するんでしょうか。その無駄に見える要素こそ、F1ビジネスのコアだと思うんですけどねぇ。

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