2008/12/19

ペルソナ・ノン・グラーダ

私がいつも乗る通勤電車には、時々好ましからざる人物、というか要注意人物が乗車します。

50〜60代の女性なんですが、いつも右手と左手それぞれで別のつり革につかまり、混雑した電車の中でゆったりと場所をとって通勤しています。どちらかのつり革を解放して別の人につかまらせてあげればいいのにといつも思っています。

どんな点が要注意人物かというと...

以前、電車が揺れて、女性の後ろに立っていた男性が軽く女性を押してしまったことがありました。混雑した電車の中では日常茶飯事の出来事、これくらいのことで目くじらを立てる人はまぁいません。しかし、この女性、何を思ったか、押した男性を背中で強く押し返したんです。男性も頭にきたんでしょうね、「ちょっと」と始まりトラブルに発展しました。

その一件を見て以来、私は電車に乗る前に、その女性が乗っていないか窓から確認し、乗っている場合には、その女性がいない方に乗ることにしています。それでも、時々確認を怠ってしまうことがあります。ある日、確認を忘れて、その女性の後ろに乗ってしまったことがあるんです。このまま乗っていると、いずれ混雑してきて女性を押さざるを得なくなりますので、その日は次の駅で電車を降り、別の戸口へ移動しました。まぁ、それほど私はこの女性を恐れているということです。

そして今朝、電車の外から女性がいないことを確認し、いつもの場所にポジションをとろうとしたら、そこに件の女性が乗ってるんです。

「しまったっ!」

戸口の近くのつり革につかまっていたので、私が確認した場所からは死角になっていたんですね。女性の真後ろに立つことは避けたいのですが、手前にポジションをとるか、奥にポジションをとるか。手前に立っていると、いずれ混雑に押されて女性の後ろになってしまうので、奥にポジションをとることにしました。

しかし、件の女性の隣でつり革につかまっているのは20代の若い女性。割と余裕のある電車の中で、わざわざ若い女性の後ろを選んで立っている俺、どう見ても不自然だろ(泣)。周囲の人から痴漢に間違われないかなぁと嫌な気持ちを味わいつつも、件の女性とのトラブルに巻き込まれるよりはましだと、目の前の若い女性との距離を注意深く保ちながら乗っていました。

何駅か停車して電車はどんどん混んでくるのですが、不思議なことに、誰も件の女性の後ろには立ちません。回りはもうギュウギュウ詰めなのに、件の女性の周りには不思議な空間ができあがっているんです。

なるほど、彼女の行動はすっかり有名になっていて、誰にとっても要注意人物だったという訳ですね。私が目にしたトラブルは1回だけですが、きっとこの人は押される度に押し返しているんでしょうね。

ここまで来ると、誰も彼女の通勤のお邪魔をしないようにと気を遣うので、本人はとても楽でしょうねぇ。しかし、誰からもかまってもらえない人生というのも寂しいよなぁ。むやみに人を遠ざけてはならないという教訓でした。

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