2008/03/11

今更何言ってるの???

新銀行東京、大変そうですね。この度出された調査報告書では、旧経営陣の責任のみが問われ、設立した東京都の責任については言及されていないらしい。まぁ、都のOBの方が中心となって報告書を作成すれば、そのようなものが出てくるのでしょう。

経営モラルに反することがなされていた等々いろいろなことが言われています。確かに経営モラルやコンプライアンスに反するようなことをしてはいけないのは当然です。でも、今になって赤字とか債務超過を理由に経営陣を批判するのはどうかと思うのですよ。

この銀行は、市中の銀行から資金調達ができず資金繰りに苦しんでいた中小企業に資金調達の道を拓くという趣旨で設立されたと私は記憶しています。政策目的を持って、都を大株主として設立されたのですから、市中の銀行との営業分野の住み分けというのは当然必要でしょうね。市中銀行と同じ営業をしていたら、それは単なる民業圧迫です。

こんな趣旨で設立された銀行ですから、当然、市中銀行よりも積極的な営業をすることが重要な使命のひとつだったのでしょう。平たく言えば、市中銀行の審査では落とされてしまう企業に対しても融資をするということ。これができないようじゃ、税金をつぎ込んで銀行を設立した意味がないですね。ところが、このような営業をしていれば、市中銀行に較べて債権の質は落ちるし、当然デフォルト発生率は高くなりますよ。その結果として、債務超過に陥ることも想定できたはずです。信用力の低い企業への融資を続けながら営業成績も優秀であるとすれば、ものすごい経営ノウハウを持った銀行ということで市中銀行はとても太刀打ちできませんね。

マスタープランなるものでどのような収益予想を描いていたのか知りませんが、設立を急ぐあまり、実態を無視したバラ色の絵を描いていたのでは? 当時の経営陣は、報奨金などやり方に問題はあったかもしれないけど、設立の趣旨をよく考えた上で、収益性を確保するために慎重に融資先を選択することよりも、中小企業向け資金供給の量的拡大を優先したのかもしれません。そのあたりについては、政策立案機関であり大株主でもある東京都から当時どのような指示を受けたのか、仁司さんのお話を伺ってみたいものです。

それにしてもがっかりさせてくれます、石原さん。ルールでがんじがらめの世の中で、道理で物事を通す男らしい人と思っていたのに。「資金融通対策だったんだから、債務超過なんて当たり前だ!」くらい言って欲しいところですが、今回は一株主の立場に退歩ですか。都の政策によって設立された銀行に対して、都が影響力を発揮していないなんてありえない! これが本当だとしたら、都は単なるサイレントな投資家で、政策の実行は銀行に丸投げってことになりますね。

経営手法の問題はともかくとして、景気が少しよくなり当時の設立意義が薄らいだからといって、今さら債務超過問題を持ち出して経営陣を批判するくらいなら、最初から設立すべきではなかったですね、この銀行。

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