2008/05/26

逆向きの男

みなさん、混んだ電車に乗っているとき、どちらを向いて立ちますか?
全国的に共通という訳ではないかもしれませんが、関東地方では、だいたいの人が自分から近い方の窓を向いて立つことが多いと思います。従って、車両の真ん中付近に乗っている人は背中と背中が合わさる形、他の人は前の人の背中を見て立っているという状態になります。

朝夕の超混雑する時間帯では車内で身体の向きを変える余裕すらない場合もあります。このような場合には、ドアの傍に立っている人の身体の向きに揃えて乗る、つまりドア付近の人がドアの方を向いて立っていれば背中を使って自分の身体を車内押し込み、ドア付近の人が前を向いて立っていれば前の人の背中を自分の肩や胸で押して車内に潜り込むといった寸法です。こうすれば、至近距離で他人と顔を見合わせて気まずい思いをすることもありません。長年電車通勤しているサラリーマンにはこのノウハウが刷り込まれていると思いますし、一種の不文律になっていると思います。

ところが、この流れに敢然と立ち向かう人がいます。

2日続けて同じ電車に乗り合わせた人なのですが、2日とも他の人とは逆の方向を向いて乗っていました。自分が降りる駅で開くドアの方を向いて立っているようなのですが、その人が降りる駅では大勢の人が降りるので、そんなに早くから準備する必要はないんですけどね。

人間、至近距離で他人と正面きって向き合うのはいやなものです。まして正面同士で身体が接触するとなると...。従って、その人の前には不自然な空間ができます。混雑した車内、その隙間に入り込んで身体にかかる圧力を下げたいと思っている人は多いと思うのですが、その人と正面同士で向き合ってしまうことを考えると、決断できる人はいません。

多くの人が共存する世の中、その場その場の不文律に従うことも大切です。

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